ひとり営業草子

ひとりで歩く営業の考えたことなど。

不動産営業"女子"の現在地

外回りの多い仕事を選んだのは、ずっと座ってPCと向き合ったり、一挙一動を誰かに見られていることに耐えられないから。

業界を絞れず行き詰まった就活でふと、電車から街を眺めたり歩いたりすることが好き、そういやRPGでもマップを隅々まで解放するの好きだったな?と考え、面接を受けてみたら受かった。

今もたぶん天職だと思っている。

 

サボりまくってもよかったけどノルマが毎月しんどかった売買系の1社目を経て、今は管理系の会社で顧客対応をしている。

時間の使い方は自由で、上司も自分が監視されたくないからこちらのことも監視してこない、そんな緩めな会社。でも日々起こる顧客の要望は捌かないといけないので、暇ってわけでもなく。

会社のお金であちこちに行っては「マップ解放」ができるのが楽しいし、顧客対応も苦ではない。

 

まだまだ若手の方に入るけれど、あと何年かしたら後続を育てたりしなきゃいけないだろうな、というモラトリアムの中で、仕事終わりや休日に映画を観て、推し活もし、充実している。(映画や推しのことはまた別で書く)

 

不動産は顧客に女性が多く、私が出てくると明らかに安心したり喜んでくれる人も多い。男性の業界と言われてはいるが、相手が女性だろうと軽んじないだけで評価が上がる仕組み。

とはいえ俗に言うクレーマー気質な人も一定数いるし、相手が女だと舐めてかかってくる相手は社内でも取引先でも顧客でもまだまだたくさん。やっぱりこの先もっと男女比率が同じくらいになったらいいのになって思う。

 

フェミニズムの本を買い漁り、真剣に学んでいたこともあったけれど、机上の空論も多くて実生活では使えない考え方もある。学者やアクティビストにはわからない目の前の現実をなんとかするには「自分が体現しなければならない」ってことに気づいた。

まずその現場に女性がいなければ意味がないし「女はどうせ辞めるからな〜」って言われても、その通り結婚や出産でサラッと辞める人が多い現状で「男女同権!」を叫ぶのは難しい。

先人たちが切り開いた道は獣道。名誉男性とも言えるような、タバコを吸って残業休出飲み会ではエロ話を率先してするような何でもありな人ばかり。

彼女たちがいたから私が採用されているとはいえ、同じ道を歩くより、もっと歩きやすくて楽な道ないかなあなんて考えていたら、タバコ吸わないしお酒飲まないし定時で帰って休日しっかり休んで有給マックス取得、みたいな不動産営業"女子"が出来上がっていた。やろうと思えばできる。

 

同じくキャリア入社の男性に同じような人が増え始め、後輩の新卒社員もタバコ飲酒NGが増えてきた。残業休出はまあ帰宅してもやることがないという理由でやりたくてやっている人が多いので割愛。

なかなか生息しやすくなってきたな、なんてほくそ笑みながら、今日も電車に揺られ、アポイントの時間を多めに申告し、前後でのんびり本屋に行ったりする。(たまに3時間喋り続けることもあるからあらかじめ必要なゆとりだが)

さすがにショッピングビルにある椅子や喫茶店で何時間もダラダラするまではやらないけど、社会人ってみんな結構サボってるし楽しようとしてるんだなって気づいた時、驚いたのを覚えている。

そして残り何十年も働くなら疲れない方がいいよね、という思想を持ちつつ、いつか自分も古臭い人間になったりするのかしら、なんてことも思いつつ。

バリキャリなんて言葉が古くなるぐらい、のーんびりしたサラリーパーソンをやっていくつもりだ。

 

仕事を片付けすぎると新しい仕事が舞い込んでくるし、定時で帰ってるってことは余裕があるってこと?みたいな解釈をするブラック上司もいる。なんだかんだ数字は大事だし、社内スタッフの助けがなくては回らないから人間関係も良好に保たなければならない。

 

周囲では祖父や父親しかフルタイムで働いていなかったから、女性で毎月生理がある状態で働くってことがどういうことか、知らないまま始まって今に至る。

ホルモンバランスは気をつけないといけないし、栄養あるご飯食べないと駄目だし。

つくづく男性用の社会構造だなと思いながら、でもそれを変えるために今、この現在地をなんとか自分にとって居心地のよいところにしていくしかない。

 

のんびり、でも着実に変えていく。そしたら、私の後に続く人が獣道を歩道ぐらいまでに整えられるようになるかも。

なんてことを考えながら今日も働いている。